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新渡戸カレッジ履修生・修了生、フェロー・メンターからのメッセージです。

不合理・非効率・非論理に価値を見出し 世界でサバイブできる人材に

石川 裕一
投稿日: 2017-11-30

プロフィール

石川 裕一(いしかわ ゆういち)さん

株式会社ぷらう 代表取締役社長
ジョンソンコントロールズ株式会社取締役
麓郷木材代表取締役会長
1979年 北海道大学法学部卒業

東京都生まれ。1979年北海道大学法学部卒業、株式会社東食入社。西ドイツ、サウジアラビア、アメリカ各地に勤務。1995年株式会社イチケンに転職、顧問に就任。2000 年アメリカからスカウトされ、ジョンソンコントロールズIFM株式会社ジェネラルマネジャーに就任。現在、ジョンソンコントロールズ株式会社取締役。2008年不動産開発の株式会社ぷらう代表取締役社長就任。能や茶の湯など日本文化に造形が深く、地域貢献・社会活動も多数。一般社団法人北海道ボブスレー・スケルトン連盟会長。一般社団法人日本戦略研究フォーラム理事。日本オオカミ協会副会長。

厳しい海外駐在を支えた北大時代の財産「5F」

学習院高等科から「知り合いがいないところ」を希望して北海道大学に進学した私にとって、北大時代は心身ともに鍛えられた4年間でした。
20代で商社マンとして西ドイツ、サウジアラビア、アメリカに駐在し、現地で一定の成果を出せたのも、北大でのトレーニングがあればこそ。私はそれを「5F(ファイブ・エフ)」と称しています。

「5F」の中身は、皆さんにおなじみの開拓者魂「Frontier」と、厳しい自然の中で育まれる「Fighting spirit」、私も随分助けていただいた他者を受け入れる「Friendship」、人の長短所を公正に受け止める「Fairness」、そして広い大地で自由闊達な風土を知る「Freedom」です。
今在学中の皆さんにも、北大の日々でこの「5F」を身のうちに取り込み、今後さまざまな場面で待ち受ける苦難を乗り越えていってほしいと考えています。

大学を出ると社会人1年生になる、とはよく聞く言葉ですが、私に言わせれば、人は誰しも生まれた瞬間から「社会人」です。家族という社会があり、幼稚園、小学校、中学校…というさまざまな社会の一員として過ごしてきたはず。在学中の今も、決して社会とは無縁の存在ではありません。
では、会社に入る人を何と呼ぶかというと、「企業人」です。私の場合、「プロのサラリーマンになる」という思いで商社に入社し、その後一部上場企業や外資系企業の代表取締役に就任し、自分の会社も立ち上げました。立場や勤務地は違っても常に「上司やお客様の期待を上回ること」を心がけ、プロに徹しようと努めたサラリーマン人生だったと思います。

「型」から「形」を生む思考のトレーニングを

新渡戸カレッジの対話プログラムでカレッジ生の皆さんとお話していると、「しっかりと自分の意見を持っている」ことを非常に頼もしく感じています。これから必要なのは、さらに知識・教養を増やし、実体験を積み上げること。知性と感性には限界がありません。
皆さん、ここまで優秀な成績で来られて、授業で教わったさまざまな「型」を知っていることはわかります。ですが、社会ではそれらの「型」同士を結びつけ「形」にする、次のステップが求められます。
言葉遊びのようですが、「型(かた)」を「形(かたち)」にするには、「ち」が必要。「ち」は知識の「知」であり、地に足をつけるの「地」とも、血肉にするの「血」とも読み替えることができます。
その「ち」は生来の頭の良さなどで決まるものではなく、一つの事柄に対して真摯に考え続ける思考のトレーニングで誰でも身に付けることができるものです。そのトレーニングの場が、この新渡戸カレッジであると考えていただきたい。

人生は偶然の連続であり、不合理・非効率・非論理的なものにこそ価値があります。留学や海外経験などはその最たるもので、現地に行けば想定外のことだらけの中で過ごすことになるでしょう。そこで自分なりに「生き残ること」ができた体験こそがあなたを強くし、世界に対峙できる人材にしてくれる。
「何かあったらどうしよう」と臆せず、「何かあったらその場で考える」精神で、未知の世界に果敢にトライしてほしいですね。

フェローの流儀: ラテン語を巧みに引用し、茶の湯にも通じる

世界と対等に渡り合うには、語学力の中でも特に“書く力”が重要です。どんな単語を駆使して文章を構成するかで、相手からリスペクトされるかどうかが決まります。
私は主にドイツ語、英語、ラテン語を使いますが、メールにラテン語の格言を引用すると、その後の相手の態度が明らかに変わります。ラテン語は対欧米圏のビジネスに非常に有効です。

また、コミュニケーションとは、互いに五感で感じるもの。嗅覚と聴覚に関することにはことさら気を遣ってほしいと思います。私は東京に生まれた“江戸人”ですので、野暮なことが大嫌い。野暮はせずに、粋に生きる。そのためにも皆さん、ぜひ能や茶の湯などの日本文化を学んでください。