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新渡戸カレッジ履修生・修了生、フェロー・メンターからのメッセージです。

新渡戸カレッジに入ったことで フィンランド留学の夢をあきらめずに叶えられました

内田 志歩
投稿日: 2016-10-12

プロフィール

内田 志歩(うちだ しほ)さん

新渡戸カレッジ第1期生/法学部 総合法政コース 4年(2016年10月掲載時)

静岡県出身。小学3年生から陸上クラブで短距離に打ち込み、中学、高校も陸上部で県大会や東海大会に出場。大学4年の8月で陸上部は引退ですが、動いていないと気持ちが悪いので、これからも走り続けます。陸上のほか料理も好きで、留学中は巻き寿司をたくさん作り大好評でした。

カレッジ生同士の刺激が、背中を押してくれた

フィンランドで見たオーロラ

私は、新渡戸カレッジで他のカレッジ生の意見を聞くことがすごく刺激になりました。新渡戸カレッジでは、「もっと英語を学びたい」「もっと自分を磨きたい」と思う学生たちのグループに入り、お互いに刺激し合えることがアドバンテージだと思います。

私はずっとフィンランドに留学したいと思っていましたが、新渡戸カレッジに入っていなければ、あきらめていたかもしれません。というのも、留学前は英語のテストで一定以上の点数が必要ですが、勉強する時間がなく自信をなくしていました。そんなとき、新渡戸カレッジで同じように留学を目指す仲間や留学が決まったカレッジ生の話を聞き、「自分がやりたいなら、その気持ちを大切にしよう」と考えるようになりました。ですから、昨年8月から今年5月までのフィンランド留学は、ようやく自分の夢が叶えられ感慨深い気持ちでいっぱいです。

フィンランドの古城トゥルク城

中学生のとき、小学校の教員だった父にすすめられてフィンランドの留学紀『青い光が見えたから』(高橋 絵里香)を読み、とても美しい国で人も優しく、社会制度も整っていて、こんな国があるんだと驚きました。最初は憧れでしたが、その後フィンランドについて調べていくうちに、先進的な教育制度について学びたいと思うようになりました。具体的には、フィンランドではテストの点数によって生徒を評価するのではなく、点数では現れないような生徒の能力や個性を評価して教育を行っています。中学生ですでに、自分で何を学びたいのかに基づき、取りたい授業をとれるような仕組みが導入されています。全体として先生から知識を与え、ただ生徒が受け身で学ぶのではなく、生徒の興味とか知的好奇心を重視した、生徒が能動的に学べる授業形式をとっています。私は将来、日本の教育行政に携わりたいと思っています。両親の働く姿を通して教員の現場がいかに大変かわかっていたので、教育の環境を整える仕事に就きたいと思っています。日本では、現在、先生方が担う仕事はあまりにも多岐にわたっています。保護者対応、部活動の指導、学校行事の運営など。それは必要なことだとは思いますが、もう少し役割を分散させ、先生方が“教えること”に集中できるような環境にできればいいと思っています。

フィンランドでは、良くも悪くも先生と生徒の関係は授業だけ。先生が担う仕事の範囲は、その分、日本の先生のそれと比べれば限られています。仕事にかかる時間も少なく、休暇も長いです。このように、ストレスが少なく、ストレスを抱えても解消できる余裕のある環境にあってこそ先生方は授業を充実させることができるのではないか思いました。先生の生徒への接し方や、態度が生徒に与える影響がどのようで、どれほど大きいかを、教育学の授業で学びました。そこから、先生たちの働く環境を良くしていくことも、教育の質を向上するうえで大切だと思いました。

留学でさらに強くなった将来への思い

フィンランドのトゥルク大学では、本を読んだだけではわからなかった発見がたくさんありました。実際に小・中学校に見学に行ったときは、日本のような職員室がなく、教員同士が自由にコミュニケーションをとり、そのなかに子どもたちも入って意見交換ができるなど、すばらしい環境だと感じました。

フィンランドでは教員がとても尊敬されています。修士課程を取らないと教員になれず、採用人数は少なく、給料もそれほど高いわけではありませんが、志望者が多くて倍率がすごく高い。これには、資源の少ないフィンランドがヨーロッパの列強と渡り合うため、特に人材育成に力を入れてきたという歴史的な背景があり、日本にフィンランドの教育体制をそのまま取り入れることはできませんが、学ぶべき点はとても多いと思います。

また留学中に以前より日本の教育に興味をもつようになり、改めて父に聞いたり、北大の教育学部の先生にコンタクトをとって教えてもらったり、疑問を自分から解決するようになりました。そして、帰国した今、将来は日本の教員を取り巻く環境を改善したいという思いが,さらに強くなりました。

トゥルク大学で一緒に学んだ仲間と

留学で学んだこと、新渡戸カレッジで学んだこと

私は留学前、わからないことがあってもすぐ質問するタイプではありませんでした。あとで調べればいいと思っていたんです。でも海外で出会った学生は、何か疑問があると授業中でもパッと手を挙げて聞きます。その場で解決すると自分自身がすっきりするだけでなく、人とコミュニケーションをとるなかで誤解や間違いがわかり、さらに理解を深まることが多くありました。留学はそういう経験もたくさんできて密度の濃い時間でした。ぜひ皆さんも、いろいろな体験をして欲しいです。

新渡戸カレッジは、カレッジと学部の単位を取るのは難しそうと感じる人もいるかと思いますが、そんなことはありません。将来海外で活躍したいと思う人、英語を使って仕事をしたい人にとって、新渡戸カレッジで提供される授業は必ず役立つと思います。

私が新渡戸カレッジを続けられたのは、フェローの方々のおかげでした。お話を聞くと視野が広がり、いろいろな考え方ができるようになります。世界を見て、苦労を乗り越えて活躍している方ばかりなので、直接お話を聞けることは貴重な経験です。新渡戸カレッジに入って得るものは非常に多いと思います。

新渡戸カレッジ関連のおもなできごと

1年生

  • 新渡戸カレッジ入学
  • 夏休みに2週間、ファーストステッププログラムに参加してフィンランドとドイツへ

2年生

  • フィンランド留学のための準備

3年生

  • 8月からフィンランド・トゥルク大学に長期留学(〜4年生の5月まで)