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Messages from Nitobe College Students, Alumni, Fellows, and Mentors.

自分の正解がわかるのは自分だけ

村山 和佳
Post Date: Jan 27, 2023

プロフィール

村山 和佳(むらやま わか)さん   

株式会社ズコーシャ 技術部 課長
1995年 北海道大学農学部卒業

1973年生まれ。北海道大学農学部卒。千葉県の橋梁メーカーを皮切りに建設コンサルタント会社など数社の転職を経て、結婚を機に東京へ。2007年に北海道へUターンし、札幌で農業土木コンサルタントとして働いたのち、「大好きな道東エリアの温泉に通える生活を送りたい」と帯広に本社を置く株式会社ズコーシャに転職し、現在に至る。2022年に温泉に通った日数は365日。技術士(農業部門)。技術士(総合技術監理部門)。畑地かんがい技士。農業水利施設機能総合診断士。

チアリーダー部を立ち上げ、「ドボジョ」台頭前の土木業界へ

農学部では林産学科(現・森林科学科)に所属し、木材工学を専攻していました。お恥ずかしい話ですが真剣に勉強していた記憶はあまり思い出せなくて(笑)、それよりも打ち込んだのは、チアリーダー部を友達と立ち上げたこと。
幸い、部員は予想以上に集まってくれたんですが、サークル感覚で楽しみたい人、部活的に真剣に打ち込みたい人、部員の間に温度差があって、それをまとめるのがひと苦労。人生勉強の意味でもすごくためになった経験でした。チアリーダー部は今も存続していて、大会の上位に入賞することもあると聞いています。嬉しいですね。

私が就職活動した時代は既にバブルが弾けた「就職氷河期」。そこに追い討ちをかけるように「男子学生が欲しいのだけれど」と言われたりして、現実の厳しさを実感したこともありました。今でしたら、土木業界で活躍する女性たちは「ドボジョ」と呼ばれて注目を集める存在になりました。それでも女性はいつの時代もさまざまなライフイベントがあり、自分の進退を決めるときが訪れます。

私の場合はこの農業土木の仕事が楽しいですし、大好きな北海道の温泉を夫と二人で楽しむライフスタイルを選択していますが、もちろんライフスタイルは人の数だけいろいろな選択肢があるはず。自分の正解がわかるのは自分だけ。皆さんにも、そういう人生の選択の時に自分の意志で決めた道を進んでもらえたらいいなと思っています。

反省や後悔より「この先どうする?」の視点で

私は海外勤務の経験はありませんが、東京から北海道に戻ってきた時に改めて北海道の良さを実感しました。何よりハマったのが温泉で、今の会社も道東にある弟子屈町の三香温泉に少しでも近づきたくて選んだ、なんていう冗談みたいな本当の話があります。

仕事内容は、国からの発注のもと、農地の区画整理や農道整備、農業用用水路・排水路の設計など農業のインフラに関わる業務です。課長という立場上、現場の指揮を任されることもありますが、私はグイグイと皆を引っ張っていくリーダーというよりは、「このアイデア、どう思う?」と皆で一緒に相談しながら進めたいタイプ。自分の性格上どうしてもそうなってしまうなあ、というのが偽らざる本音です。

未来のリーダーとなる新渡戸カレッジの学生さんの中にも、すごく自信に溢れた人もいれば、「大丈夫だろうか…」と不安でいっぱいの人もいます。どちらにも気づいてほしいことは、社会では何事も人と一緒にやらないと進まないということ。

新渡戸カレッジのゼミもそうですよね。自分一人が頑張っても課題がまとまらず、どうしたら最終発表まで持っていけるのかを悩みながら学び、一年経つ頃には大きく成長している姿を見てきました。

新渡戸カレッジの受講生皆さんは、とても優秀です。ただ、時おり「そんなにナーバスにならなくても、もっと鈍感でもいいんですよ」と言いたくなることも。「自分はこうです」というものを確立するまでに時間はかかりますが、良くしていきたいところはしっかり努力して、あとは反省や後悔するよりも「この先はどうする?」と前向きに考えてみませんか。

私が農業部門の技術士の資格を取ったのは30代前半で、総合技術監理部門の技術士資格は40代に入ってから。仕事にも転職にも有利なこの2つの資格を取れたことはすごく大きな自信になり、その後は「自分のライフスタイルや仕事の進め方はこうだから」と、肩の力を抜いて思えるようになりました。

フェローの流儀: NGワードは「キライ」。「苦手」は「得意」へ切り替えよう。

部下に何かを相談されたとき、口癖のように言っているのは「大丈夫。なんとかなる」。そう私自身に言い聞かせているところもありますが、実際のところ、「なんとかならない」事態ってそうあるものでもないんです。

どんなに準備が大変でも、感情的にぶつかりあったとしても話し合いを繰り返していけば、最後は必ず「なんとかなる」。

仕事上の悪い感情は極力排除してほしくて「“キライ”って言っちゃダメ。“苦手”くらいで止めておこう」とも、よく言います。自分で「キライ」と言ってしまうと、そこから先に進めなくなってしまうので。それに「苦手」なら、いつか「得意」になることもあるかもしれないですよね。「なんとかなる」の精神です。