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Messages from Nitobe College Students, Alumni, Fellows, and Mentors.

新渡戸カレッジから、キャリアに自信を持って社会で活躍できる人材を送り出したい

萱野 聡
Post Date: Oct 30, 2017

プロフィール

萱野 聡(かやの さとる)さん

株式会社サクセスボード 代表取締役社長
1987年 北海道大学法学部卒業

北海道札幌市生まれ。北海道庁、日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。
国家資格キャリアコンサルタント
米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー
産業カウンセラー
著書『上司から評価される人になる仕事のやり方・考え方』明日香出版

キャリアコンサルタントで培った視点を活かして

私の社会人スタートは公務員でしたが、海外で活躍したいと思い、大手の民間企業に転職しました。入社後は意外にも国内の人事部に配属され、新卒採用を任されることになりました。「大勢の学生に会い、当社のことを知ってもらう人事は、いわば営業と同じ役割を果たす仕事」と当時の上司に言われたことは、今も心に残っています。
想定外で始まった人事の仕事でしたが、携わっているうちにやりがいを感じるようになり、充実した日々を過ごすことができました。

この人事時代に、自分が採用し、入社直後は生き生きとしていた新入社員たちがじきに疲れた顔で辞めていくという場面を何度も経験してきました。「この事態をどうにかしたい」という思いが募り、出会ったのが、アメリカで先行していたカウンセリング心理学でした。そこから産業カウンセラーの資格を取り、当時国内ではまだ真新しい分野だと注目されていたキャリア・カウンセリングについての勉強を積み重ねていきました。お世話になった会社を退職後、今のコンサルタント会社を立ち上げるまでさまざまな業界・職種の方々とお会いできた経験は、私のかけがえのない財産になっています。各業界の現状に照らし合わせ、そのなかでクライアント企業にもっとも適した人事・採用の仕組みづくりをご提案しています。

公務員から日本企業の伝統的なマインドを持つ大手に入社し、外資系企業も経験して、最終的には起業する。自身の経歴を振り返ると、我ながら得難い社会人キャリアであったと実感しています。日本通運時代には海外企画部にも配属になり、東京にいながらにして海外に450人いる現地社員の資質や状況を把握し、遠隔からサポートするという貴重な体験も積ませてもらいました。私が新渡戸カレッジのフェローになったのは、微力ながら、こうしたこれまでのキャリアを、次代を担う皆さんのために活かしたいという思いがあったからです。多種多様な職場を見つめてきた人材育成のプロの視点を活かして、自分のキャリアに自信を持って社会で活躍していける人材を1人でも多く増やしたい。その思いでカレッジ生である皆さんに会うために東京から通っています。

「自分で動く」「現場主義」「事実主義」のすすめ

毎年、ゼミで出会ったカレッジ生に必ず伝えていることが3つあります。

まず1つ目は「自分で動くこと」。友人が動くのを横で見ているのではなく、自分から動く。大学から連絡が来るのを待っているのではなく、答えが欲しかったら自分から聞く。社会人になっても必要とされる大切な姿勢です。

2つ目は「現場主義」です。過去のフェローゼミでなかなか面白いアイデアを出したチームがありましたが、よく聞くと残念ながら肝心の現場に足を運んでいないということでした。そうすると本当にそのアイデアが実現できるのか、こちらも不安になり、せっかくのいいアイデアにゴーサインを出せなくなってしまう。ネットの情報やメール、電話のやりとりだけで体裁良く形を整えてしまうことはできるでしょうが、実際の社会の現場では、そうした表層的な仕事で相手の心を動かすことはできません。担当現場を自分の目で見、感じ、そこから新たに生まれるアイデアをさらに盛り込んでいく。学生の頃からぜひ身につけてほしい、現場主義スタイルです。

最後の3つ目は「事実主義」です。何かを主張するときは統計データやアンケート結果、または実際に自分たちで見たり、触ったりした事実を大事にしよう、と呼びかけています。ゼミで北海道観光のお菓子を研究テーマにしたとき、やはり学生には「食べてみた?」と聞きました。ネットで書かれていた「おいしい」と、自分が食べてみての「おいしい」は別物であるということを、当時のゼミ生には学んでいただきました。

これらの3つの姿勢は、私のゼミの時間だけに求めるものではありません。自分の専門研究にも、社会に出てからも、そのまま活きてくることを約束します。

フェローの流儀: 日本社会に貢献できてこその「グローバル人材」

「やりたいこと」を見つけるのは、そう簡単なことではありません。時間がかかるかもしれませんが、毎日を漠然としたものにしてしまわないためにも、自ら「見つけよう」という意識を常に持っていてほしいと思います。

「やりたいこと」のひとつに「海外での活躍」をあげる方もいるでしょう。私が思うに、「真のグローバル人材」とは、そこで得た経験や学びを日本社会にフィードバックし、日本社会に貢献できるような働きができる人ではないかと考えています。私も、北大生時代にゼミの先生に「君たちは税金で学んでいるんだから、日本社会に役に立つような仕事をしないといけない!」と言われました。私も、今の北大にフィードバックしたい。可能性にあふれた皆さんとの出会いを楽しみにしています。