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2021年01月21日

新型コロナ時代に求められている能力自分と向き合いながら導いていく

三嶋 渉
メンター(新渡戸スクール1期生)

メンター 
新渡戸スクール1期生
気象庁

新型コロナ時代に求められている能力

新型コロナウイルス感染症に対する対応は自然災害が起きたときの対応に似ているなと思いました。それは個人がどう対応したかが大事になる、という点です。念のため、誤解を招かぬように書いておきますが、公的機関が対応を個人に委ねている、ということではありません。

台風、津波、火山噴火など自然災害につながりうる現象が起きたとき、皆さんはどのような行動をしますか。自分自身はもちろん、大事なものや人を守る行動に移ると思います。では、そのときの行動はどう決めますか。ひとつにはテレビや公的機関から発信された情報に沿った行動だと思います。ではそのときに行動するのは誰でしょうか。皆さん一人一人の個人です。行動する主体は個人です。つまり、危機的な自然現象が起きたときには個人がどのように対応するか、ということが、その後の運命を握る重要な鍵となる、と私自身は考えております。例えば、大きな地震が起きたことを知らせる緊急地震速報は、鳴動したことを認識することで皆さんの行動は終わりではありません。鳴動したあとは、身を守る行動、つまり、机の下に隠れる、につなげる必要があります。

ところで、危機的な自然現象が多数起きる日本という場所に住んでいることは、大変に悲観的なことかもしれません。その一方で、そうした中でも技術や科学は日々進歩しております。決して完璧な目標が達成されているわけではないですが、その目標に向かって、できることを積み重ねてきてくださってきた歴史があります。例えば、緊急地震速報という仕組みができたことで、被害を抑えるための行動に移れる時間を我々は持つことができるようになりました。

もちろん、行動に移るための時間を持てるようになるまでには多くの被害がありました。それらの出来事が起きるごとに、人々の心は痛んだに違いありません。それでも、将来に向かって再び立ち上がり、難題を越えるための行動を積み上げて、進んできたのがこれまでの歴史なのだと私は思います。

このように、自然現象に対する対応というのは、個人の気持ちと科学技術の両輪で乗り越えていくものと私は考えております。

さて、新型コロナ感染症に対する対策もこうした危機的な自然現象と対比させてみるとすごくわかりやすいなと思いませんでしょうか。ウイルスは目視できないものですが、経済的・人的な被害をもたらすものです。また、情報に基づいてそのあとどう行動するか、ということが重要となります。

マスクの着用、テレワークの環境整備、ワクチン開発など、組織力はもちろんですが、一人一人がどのように行動するか、ということの積み重ねが新しい時代への道をつくるのだと私は思います。後ろ向きになることもありますが、決してそこだけに焦点を当てることなく、できることを続けていく姿勢を大事にしていくことが大切ではないかと思いました。

では最後に、具体的にどのようなことが求められているのかを考えてみましたので、記したいと思います。

適応しようとする力

私たちには意思があります。自らの意思や提案を伝えるとき、どう伝えるか、ということは大変重要な力となります。一方でうまくいかなければ、必要に応じた改善を施すことが重要です。目標を達成するまでの道のりは一つではありません。導き出した方法がそのままうまくいくこともある一方、うまくいかないこともあります。そのときにどう乗り越えていくか。そうした力が今、求められていると私自身感じております。

創造していく力

自分で課題を作っていくことが必要と思います。新しいことにチャレンジすることを恐れずに、進みましょう。自分一人でできない時には、チームを作りましょう。目的を達成する上で、必要な人材を集めて、それぞれに役割を振り、目的を達成しましょう。それぞれの力が揃って成果物が仕上がります。

自分がそのときに何ができるか。何か指標を探しましょう。お互いができること、できないことを見極めながら、進みましょう。自分一人でできることも多くあります。でもチームでやった方が成果に伸びを感じることがあります。

自己を認識する力

自分はいったいどういうことができて、何をしていくか。このことを知っている人はあまりいないのではないかと感じてきております。ふとした時でいいと思います。能力はどのようなものがあるのか、欲しいものは何か。主語が自分であることをぜひ考えてみましょう。自分のことを考えることで、自ずと自らを導いていく道は見えてきます。道が見えることにより、その道はどのようなときにも皆さんの指針となります。

楽しむ力

当然のことですが、楽しい方が精神的な負担は少ないです。どのような状況でも楽しむことを頭のどこかに置きつつ、生活していきましょう。稀な機会で、不安もあり、苦労も多い1年となってしまいましたが、自分自身の気持ちの持ちようがものごとを360度変えます。

人の痛みを受け入れる力

現在、誰もがウィルスに感染するリスクを有しています。コロナウィルスに感染した人が身近にいれば、少なからず、自分たちの身の周りに生活にわだかまりが生まれます。そのことで、感染者を責め立てたる行為をしたり、傷つける言葉を投げかけたりしてはいけないと私は考えます。感染した人は感染したことに対する恐怖があるでしょう。そういった傷ついているであろう気持ちに思いを致し、相手を受け入れていきましょう。その結果、互いに助け合うことを優先できるのではないかと思います。

これらの力の土台となっているのは、新渡戸スクールで学んだ「3+1の力」です。このように新渡戸スクールのプログラムで学んだことが私自身の支えになっているのだと思います。これからもこうした力を支えに、これからも自身の力を向上させていきたいと考えています。そしてなによりも、後輩の皆さんには、新渡戸カレッジカレッジのプログラムで力をつけたり、カレッジで出逢う方々と充実した時間を過ごしたりするため、カレッジを受講されることを推したいと思っております。

キャリア発展へのアドバイス

私がお会いしてきた方々ですごいなと感じる先輩方や後輩方は、ものごとを続けることが上手だなと思うことが多いです。新渡戸カレッジなどで出会う方はそういう方ばかりです。また学生のときに頂いていた給付型奨学金の財団に関わる学生や企業の皆さんもそうでした。ではどうやって続けているかというと、理想・目的に向かって、素直な関心と興味を持ち、誠意のある言葉と態度で活動し続けている、と私は感じています。その結果が、成果に結びついているように思います。

同様に新渡戸のプログラムについても、開始以降の教員の方々や先輩のメンターが続けられてきたことにより、学生の知識獲得や実践経験が積み重ねられて、確実に成果が際立ってきているということでした。

このような私自身の体験等を振り返ると、キャリア発展において私がアドバイスできることは、続けること、だと思います。各人、自分ができることは何か、自分は何に向かっていくのか、ということと向き合い、自らを導き、また人に導かれて進むことが大切と思います。そのことが確実に皆さんや社会の力になっていくと私は考えております。