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自分の軸を見つけたら 足を止めずに行動を フェロー 森 順子さん

投稿日: 2022-01-27

プロフィール

森 順子(もり じゅんこ)さん

株式会社ハッピーアロー代表取締役
2016年 北海道大学 大学院 教育学院キャリア教育専攻修了

千葉県出身。駒澤大学文学部地理学科を卒業後、岩手朝日テレビ・テレビ北海道のアナウンサーや専門学校講師を経て2014年、教育サービスの株式会社ハッピーアローを起業。並行して北海道大学 大学院 教育学院でキャリア教育専攻の修士課程を修了。自治体・企業の研修や地理教育を含めた教育プログラムを提供する。2017年には地理女netを設立し、街歩きイベントも展開。札幌観光大使、北海道観光マスター。

育児、大学院、CoSTEPに駆け回る充実した北大ライフ

私が北海道大学の門を通ったのは社会人になってからです。中学生の頃から世界を題材にしたクイズ番組が大好きで、世界各地を飛び回るレポーターに憧れて都内の大学の地理学科に進学しました。

就職は岩手県と北海道、2つのテレビ局でアナウンサーの仕事を7年半経験し、次は「カメラ越しではなく直接伝える仕事がしたい」と岩手で公務員系専門学校の講師になりました。

そこで教育の重要性に目覚め、3年間勤務した後は教育サービスの会社を起業。上の子が一歳になったばかりのときに「学ぶなら今だ!」と思い、札幌への転居と同時に北大の大学院教育学院に入学しました。

北大には科学技術コミュニケーションを学ぶCoSTEPという組織もあり、「教育に携わる皆さんこそ、わかりやすく伝えるスキルが必要です」という説明に触発されて、そちらにも入学しました。今考えると育児と大学院とCoSTEPを全てこなすのは「もう一度同じことをできますか?」と言われたら、とても無理(笑)。

でもやっぱり大人になってから学ぶというのは、心の底から「学びたい!」というモチベーションで動いているので体は辛くても学問的な収穫は期待以上。教育心理で学んだことをすぐに育児や講師業にフィードバックしたりして、とても充実した毎日でした。

ベクトルが見つかれば具体的な目標も見えてくる

学部生の対話プログラムやセルフキャリア発展ゼミで皆さんの不安や思いを聞いていると、負の思考に陥ってしまい、そこからなかなか抜け出せない…というお話も聞こえてきます。

そういうときは「自分の軸」を見つけましょう、とお伝えしています。「軸って目標のこと?」と思われる方もいるかもしれませんが、例えば「大学合格!」が目標だとすると、大学に入ればその目標は達成されたことになりますよね。

「軸」はそうではなくて、終わりがないもの。自分がこれからどこに向かうかを決める方向性、ベクトルのようなものだとイメージしてください。

私自身、2つ目のテレビ局を辞めて、「これからどうしようか」と悩んでいたときにコミュニケーションの師匠から「自分の軸を探してみたら?」というアドバイスをいただきました。

それで出てきたのが「直接相手に伝えて前進をつくりたい」という私の軸。その軸に沿って進む過程で専門学校の講師になり、講師になってからは「教育で社会に貢献したい」という軸が生まれ、大学院で学ぶという具体的にとるべき行動が見えてきました。コロナ禍で対面の授業や研修が減っても、その軸から非対面で何ができるか考え、VR(バーチャルリアリティ)の地理教材を開発したりもしました。

軸を見つけるには、いろんな経験を積んでみること。その中から自分の好きなものが見つかり、それが軸になる可能性も出てきます。また一度軸を決めたとしても、いくらでも修正可能です。長い人生に「軸を変えちゃダメなんだ!」ということはありません。

軸が決まったら「できるか、できないか」の段階で足を止めてしまわないこと。肝心なのは「できるか」よりも「やるか、やらないか」です。優秀な北大生さんの中には「人に貢献したいから医師になりたい」という方も少なくないと思います。ただ残念ながら医師免許が取れなくて…と断念する方もいるかもしれません。

それでもその方の軸が「人の役に立ちたい」であれば、途上国を支援するNPO法人を目指すなど次の選択肢が見えてきます。皆さんもぜひ、学生時代に「自分の軸」を見つけてくださいね。

フェローの流儀:言葉にして自分を励ます

自分の軸が見つかり、具体的な目標が決まったら、それを心に思っているだけでなく言葉に書き出してみることも大切です。私のスマホには「七年目標」が書いてあり、「コロナ禍でも楽しく学べる地理教育のVR教材を開発する」「国土地理院が主催するコンテストでVRの教材が入賞する」という二つの目標を2021年中に実現することができました。

言葉にして外に発信することで自分を励ますことができますし、特に困りごとなどは思いきって周囲に相談するのもおすすめです。私も育児と学業の両立で誰かの助けを借りたいときについ、SNSに「どうしよう」と書き込んだら、それを見た知人が手を差し伸べてくれたこともありました。SOSを出せば、きっと誰かが助けてくれる。ためらわずに仲間の力を借りてください。