校長挨拶

新渡戸カレッジ生を目指す皆さんへのメッセージ

北海道大学総長
新渡戸カレッジ校長
名和豊春

新渡戸カレッジは、豊かな人間性をはぐくむための学部横断的な特別教育プログラムです。本カレッジ名の由来である新渡戸稲造は、その72年の生涯のうち20年間を海外で過ごし、近代日本きっての国際人であります。また、豊かな精神性と真摯な活動により、日本の思想・文化を世界に発信した方であり、本学の目指す、国際性や多様性への柔軟な感受性を育成する「国際性の涵養」や人間形成の基となる幅広い教養を培う「全人教育」の模範となる大先輩です。
現在のような、人や物や情報が瞬く間に世界を駆け巡り、社会・経済のグローバル化が急速に進行する世界では、新渡戸稲造が育んだ、「深い倫理性に基づいた品位ある自律的な個人」、「偏狭な排外主義に陥らない国際的精神」および「互いに国籍の区別を設けないで親しく交わる国際的協調性」が重要であります。
新渡戸稲造は、本学の前身である札幌農学校の第2期生です。札幌農学校卒業後、東京大学に進学、21歳の時に中退してアメリカに渡り、アメリカとドイツで世界最高水準の学問を身に付けたのち帰国し、札幌農学校で11年間教鞭を取られました。その後、台湾総督府に招かれて産業振興に貢献され、ジュネーブに国際連盟が創設されると、その初代事務次長として国際舞台で存在感を遺憾なく発揮されました。一方で、「武士道」をはじめとする数多くの著作を発表した文筆家でもあります。この新渡戸稲造のように、幅広い分野にわたって、高い精神性と異文化理解、コミュニケーション能力を身につけた人材を数多く輩出することが、総合大学としての本学の使命と考えています。このような理念のもとに、2013年4月、北海道大学は、新たな教育プログラムとして、「新渡戸カレッジ」を創設しました。
新渡戸カレッジの特色の一つは、「国際性」と「全人教育」の他に、物事の本質を把握しそれを実際にも活かす実のある研究・教育を進める「実学の重視」を具現化する実践の場であることです。新渡戸カレッジの新たな挑戦を実現するために、すでに社会で活躍されている国際経験豊かな本学同窓生に、カレッジ副校長やフェローとして協力いただき、カレッジ生の学修やキャリア設計を支援していただいております。これは、日本で初めて試みです。カレッジ生の皆さんは、フェローの方々の貴重な経験や知見を学び、積極的に活用されることを期待します。
新渡戸稲造は、21歳の時に「我、太平洋の架け橋たらん」という志をもって、その後の人生設計を構築していきました。皆さんも、この新渡戸カレッジとともに歩みながら、自らの「夢」を膨らませてください。北海道大学は,皆さんが新渡戸カレッジ生の「夢」の実現に向けて,全力で応援します。
ただし、「夢」の実現には,自らの努力が最も重要です。札幌農学校でグローバル人材が育った理由の一つに,札幌農学校の初代教頭のクラーク博士が「Be gentleman!」の一言を校則とし,学生の自律心,独立心を目覚めさせたことが挙げられます。「gentleman」の意味を自ら追求し,各々が各自の目標を設定し,それを誠実に実践してください。皆さんの奮闘を大いに期待します。

2018年4月2日
北海道大学総長  名和 豊春